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リノベーションエキスポ2022

〈トークセッションレポート〉中古リノベのこれからが見えた「リノベでつくる、ゆたかなミライを語ろう」

2022年9月9日・10日、仙台市の長町にて「RENOVATION EXPO in TOHOKU 2022」開催されました。

リノベーションエキスポは、地域のリノベーションにまつわる関連企業が集まり、住まいや暮らし、リノベーション業界について様々な方に知っていただくイベントです。

今年は各社の展示ブースをはじめ、住まいや暮らしのプロが語るトークイベント、生け花などのワークショップなど見所満載となりました。

リノベーションエキスポ2022
EXPO初参加で興味深そうにしていたリノベーション事業部の小川(写真左)と川崎(写真右)

その中でも筆者が一番楽しみにしていたのは、「リノベでつくる、ゆたかなミライを語ろう」をテーマとしたトークセッションです。今回はそのトークセッションについてレポートいたします。

東北から九州の交流となった胸アツな登壇者たち

リノベーションエキスポ2022
写真左より、田村さん、池本さん、百田さん、熊谷(弊社社長)

ファシリテーターは元エフエム仙台でラジオパーソナリティーとして活躍され、現在はファシリテーターやブランドデザイナーのとして幅広く活動されている奥口文結さん。

そして登壇者は以下4名の皆様です。

■池本洋一さん(SUUMOリサーチセンター長兼SUUMO編集長)
■田村晟一朗さん(建築設計事務所 tamtam design 代表取締役)
■百田好徳さん(株式会社エコラ 代表取締役)
■熊谷章(弊社 イーコンセプト株式会社 代表取締役)

皆様ご存知のSUUMOの編集長で多数のメディア出演や講演を行っている池本さん、そしてリノベ作品コンテスト「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」にて総合グランプリを3冠獲得された田村社長が福岡からいらっしゃるということで、筆者は「これは見逃せない!」という気持ちで現地に足を運びました。

それでは、各セクションで筆者が印象に残ったところを紹介します。

リノベーションエキスポ2022
平日のため業界関係者が多かったものの、なかには一般の方もいらっしゃった

1. 東北のリノベ業界ってどうなっている?

■ SUUMO池本さん
今回の主催のリノベーション協議会は2009年に発足。そのあたりからリノベーションが増え始めた。東京がリノベ業界を引っ張っていったが、地方では福岡が早かった。福岡は空港が近く、高さ制限があるため高い建物が建てられない。そのため都市部に住むなら既存の建物を直して住むしかないといった事情があったからだと思う。 一方で東北は、土地はあるから戸建志向。中古リノベは育ちにくい地域柄ではある。


■ イーコンセプト熊谷
弊社が福島県須賀川市で運営している「ROUGH LAUGH須賀川」は、おもちゃ屋さんとして親しまれた建物をリノベーションしている。開店当初2~3年は「何屋さん?」といった感じに思うお客様もおり、新しいものには様子を伺っている状態だった。地域柄、地元になじむには時間がかかった

2. リノベ業界のここどうする?

■ SUUMO池本さん
新築(戸建て・マンション)業界では、購入するお客様は「新築は夢があるから」といって多少高い価格でも容認するから、利益率が高く、社員に給料等で還元しやすい。
対して中古リノベ(特にリフォーム)業界では、お客様は「なるべく安く済ませたい」という気持ちを持つ方が多く、まだ「中古リノベ=安い」というイメージが強い新築よりリノベのほうが難しいことをする部分が多くあるにもかかわらず、利益や給与として還ってきづらい構造が根底にはある(徐々に良くなってきてはいる)。
現在、建築資材が過去最高くらいに高騰しており、新築だと全て高くなってしまう。でもリノベなら様子を見ながら進められる。価格高騰の時代ではリノベに強みがあるかも。


■ タムタムデザイン田村さん
弊社は設計会社というポジションでBtoB(対企業)の案件が多いため、未来志向の企業様が多い。ただ、プランの打合せを重ねた後に「融資が通らなかった」とお客様に言われてしまい、何も利益が発生しないこともある。自分も経営者として思うことだが、計画段階から“良いチームが作れる仲間意識”と“ある程度の手持ち資金”があるとすごく良いものができる


■ エコラ百田さん
仙台において、リノベーションのことは知っていてもあえて選ぶ人は少ない。でも、建物自体にかかる価格は全国的にほぼ同じ。いま新築で5000万円だとして、一生ローンを払い続けるのか?もし中古リノベを選択して15~20年でローンが終われば、もっと人生で大切なものに投資ができる。
住宅とは生活していく場。「ただのハコ」と思わず大きいスケールで考えてもらえたら、リノベ=安いというコスト面の魅力だけではない部分がもっとあると皆様に知っていただけると思う。

3. リノベでミライはどうつくる?

■ タムタムデザイン田村さん
大儲けしなくても、日々楽しく豊かなミライのほうがいい。自分も設計事務所を軸足に置きつつも、「コーヒーおいしいな」と思ったら事務所でコーヒーを販売するなど、まずやってみることが大事かなと。
自分が好きなものを他の人に知ってもらうことがリノベの入口だと思うので、それをリノベ業界でやっていけばすごく良いミライになるのではないかと思う。

■ イーコンセプト熊谷
自身が以前新築マンション販売を行っていた際に、とある業者が買取再販を行ったリノベ物件がかっこいいデザインで印象的だった。「リノベーション」を知ったのはそれがきっかけだった。
お客様とワクワクできる感情の部分は、新築より自由度が高いと思う。一企業としては価値観を共有できることでも十分かなと。おもしろいことをやっていれば、共感する方が増えていくと思う。そういう意味ではミライを豊かにしていくための方法として、リノベは必要不可欠になるのでは

■ SUUMO池本さん
リノベ業界のミライは明るい。キーワードは“教育”と“人口の集中”
今の小中学生はSDGsについて学ぶ。これからは「本当に新築じゃないといけない?」と考える住宅購入層が増えていく。
また、長い目で見ると中心地への人口集中傾向がより強まる。戸建てでは、郊外の資産価値や家族の人数が少なくなる中で大きな家は不要だと考えると、中心地に住む人が増えるという構図。土地がない中心地に住むためには、中古マンションのリノベが活躍する住宅市場になっていくはず。
いま新築マンションの建築費は高騰しているが、おそらく今後も大きくは下がらない。新築マンションの建築費は鉄筋やコンクリートの部分が多くを占めていて、中古マンションリノベはその費用はかからないため、コスパで考えると中古マンションリノベのほうが良い。だからリノベの時代が来ると考えている。

リノベってやっぱりいいじゃん!現場の立場から思うこと

筆者はリノベ業者の端くれとして現場に関わった経験がありますが、池本さん・田村さんそれぞれの知見を聞き、とても新鮮な気持ちでした。

池本さんのお話から、地方のリノベは福岡が牽引していたことを恥ずかしながら初めて知りましたし、今後さらに中心地に人口が集中して中古マンションリノベが必要とされることは、東北各地から仙台に転入する若年層が増えていることを考えると、とても納得するところでした。
また田村さんの「自分が好きと思うことを一つずつやっていけば業界全体が良いミライになるのでは」という話からは、素朴なものづくりに対する思いの原点を感じました。その姿勢が素晴らしいリノベを生み、総合グランプリにも繋がっているのだろうと思います。

そして仙台メンバーであるエコラ百田さんと弊社熊谷の話は伺う機会も多いですが、やはり両者ともリノベに対する楽しさや、新築では味わえない暮らしに対して魅力を感じておられることを強く感じました。

中古リノベは人生をもっと豊かにする選択肢。新築にはないワクワクがある方法ということは、筆者も「リノベっていいな」と改めて思ったところです。

弊社イーコンセプトが、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2018年に「世代継承コミュニティー賞」を受賞したROUGH LAUGH須賀川がオープンしてから丸5年が経過しました。 7月に開催した5周年祭では、地元須賀川から企業様や高校の吹奏楽部、盆踊りやよさこいチームにお集まりいただき、たくさんのお客様にご来場いただくなど、徐々に頂いた賞に見合う場所になれてきているように感じています。

あるものを継いで直して暮らしていくリノベーションのあり方が、ミライで皆様にとってさらに身近なものになるといいなと思うと同時に、それを引っ張っていける会社になれるようにと一層身の引き締まる思いがした一日でした。

リノベーション・オブ・ザ・イヤー2022 投票受付中

弊社の最新リノベーション事例として、東北の地でリノベーションをしながら住み継いでいくということが顕著にあらわれた施工事例を下記サイトで公開しております。
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今回弊社がエントリーしたのは2作品です。

■ 建築費1000万円以上の部「歴史と進化を重ねる家」 いいね!
ある歴史の一幕の発端となった場所での、戸建てリノベ+増築の事例です。

歴史と進化を重ねる家

■ 建築費500万円未満の部「必要十分、シンプルモノトーンの住まい」 いいね!
仙台市中心地にある築45年超のレトロなマンションをリノベーションした事例です。

必要十分、シンプルモノトーンの住まい

ほかにも日本全国のリノベ作品が集まっているので、リノベーションの今を知りたい方はぜひ覗いてみてください。