マンションは住戸の位置によって暑さがちがう!最上階と1階はどっちが暑い?
毎年うんざりするほど暑い“夏”。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションなどの集合住宅では角部屋が暑くなりがちです。
では、階数によっても差があることもご存知でしょうか?
せっかくの住まい探しであれば、自分たちが一番心地よく住める物件を選びたいもの。
今回は、マンションの住戸の場所による暑さのちがいと、暑さ対策についてご紹介します。
目次
住戸の場所で冷暖房の効きやすさが変わる
以下の図は、2階の中住戸を「1」としたときの、マンションの住戸の位置ごとの暖房負荷・冷房負荷を表しています。数字が大きいほど暖房・冷房が効きにくいということになります。
基準の2階の中住戸と比較して、2階の角部屋は少し冷房が効きにくくなる様子。
次に1階を見ると、基準住戸と変わりません。
最後に最上階は一番負荷が大きく、中部屋は少し、角部屋はそれ以上に冷房が効きにくくなるようです。
この結果を見た個人的な感想としては、「1階は専用庭やアスファルトの地面が近くにあることで照り返しや蓄熱効果などがありそう、暑いのでは?」と予想していたため、実は冷房においては中層階の中住戸と変わらないことに驚きました。
では、なぜ冷房の効きやすさが住戸の位置によって変わるのでしょうか?
その要因は下記の通りです。
1. 角部屋
原則として、熱は熱いものから冷たいものに伝わります。そのため、外気で熱された“外壁”に接する面が大きい住戸ほど熱くなる(=冷房が効きにくい)ということになります。
つまり、外壁に触れる面が多い角部屋は冷房が効きにくいのです。
加えて、夏の場合は家全体の約7割の熱が“窓”から伝わってくると言われており、角部屋は窓が多いことも冷房が効きにくい原因となります。
2. 最上階
最上階は、上記で言うところの外壁の部分が“屋根”に置き換わります。屋根は日の出から日没までずっと太陽の光を浴び続ける影響で、外壁よりも熱くなります。
その暑さがじわじわと伝わってしまうため、最上階は最も冷房が効きにくくなってしまうのです。
図の調査では、「天井面には壁面の2倍以上の厚みの断熱材を貼っている」という前提があるため、他の階と比べて大きな差はないように見えます。
しかしながら、実際に中古マンションのリノベーション時に内装を解体してみると、天井の断熱材が全面的にきちんと吹き付けられている物件ばかりではありません。
そのため、この調査結果よりも物件によっては冷房が効きにくい可能性があります。
3. 1階
あたたかい空気は下から上に上がるため、よほど日当たりが良いということでない限りは、夏は1階が一番涼しいです。
ただし地面がある分、湿気が入ってきやすいため、蒸し暑く感じるかもしれません。
特に近隣住戸が接近している物件では、通気性が悪いことも考えられるので、購入前に室内でカビがないかなどをよく確認しましょう。
マンションでできる暑さ対策
以上の結果と要因をふまえると、「暑がりさんには最上階、または角部屋はキツイ」という話になってしまいます。
でも、最上階には眺望の良さや住戸が広い物件もありますし、角部屋は日当たりや通気性の良さ、お隣が少ない分あまり気を遣わずに済むなどのメリットがありますよね。
「生活するうえでメリットを十分に享受したい!でも暑いのはキツイ!」…という暑がりさんは、マンションでできる暑さ対策を行ってみるのはいかがでしょうか。
1. 内窓を設置する
窓から暑さが入ってくるなら、窓を強化しちゃいましょう!
マンションでは、既存の窓を交換するのはNGという管理組合もあるため、室内にもう一つ内窓を設置して断熱性能を高める方法が一般的です。
このとき、たとえば大きな窓だけなど、一部のみの設置はおすすめしません。
というのも、内窓がある窓とない窓で気温差ができてしまい、内窓がない窓が結露しやすくなってしまうからです。もし設置するなら全部屋の窓に内窓を付けましょう。
近年は中古住宅の性能向上のために国や自治体が補助金事業を行っていることも多いため、お財布事情は補助金でサポートしてもらうのもおすすめです。
→「先進的窓リノベ2024事業」
2.遮熱カーテンを活用
窓回りで言えば、カーテンなども暑さ対策となります。
遮熱性能のあるカーテンやロールスクリーンを使用したり、カーテンの内側に追加するカーテンライナーもあります。
また、断面が六角形になったハニカムスクリーンは遮熱・断熱性能が高いためおすすめです。
バルコニーでサンシェードを使うのも一つの方法ですが、マンションのバルコニーは共用部扱いの場合がほとんどなので、避難経路としての安全面などの理由から、サンシェードが使えない場合もあります。もし使用を検討する際は、マンションの管理規約・使用細則を見てみるか、管理組合に確認してみましょう。
3. 断熱性能向上リノベ
極端な話、外壁側の壁や屋上側の天井でどれだけ断熱材が施されているかは、解体してみて初めてわかることです。
実際に私がマンションリノベーションの解体現場を訪れた際も、最上階の天井としては心もとない断熱材だったことも多く、新たに断熱材を追加していました。
現在の中古マンション市場ではリノベーション済みの物件が多いですが、断熱材の補強などが行われたかは不明です(売主に問い合わせれば回答をもらえる可能性はあります)。
そのため、確実に断熱性能を高めたいなら、物件購入後にリノベーションを行うことをおすすめします。
弊社イーコンセプトでも施工可能な「エコキューブ」というリノベーションは、現状の断熱性能を計算して、足りない部分には断熱材や内窓の追加で補強していきます。そのため、過不足ない断熱工事を行うことができます。
→「エコキューブ」について
暑がりさんこそあえて“夏の内覧”もアリ
年々暑い時期が延びているように感じますし、電気代も抑えたい近年の状況で新居を探している皆さんには、ぜひ暑い夏に内覧して、現地の状況を確認していただきたいです。
なかなか暑いときに内覧するのは気が進まないと思いますが、だからこそ物件ごとの差を感じやすくなると思います。
暑さ・寒さは個人差がありますので、できれば体感温度の差がある方々(たとえばご夫婦)が揃って体験していただくと、より納得いただけるかと思います。
物件によってはエアコンが付いているため、不動産会社のスタッフは内覧前に余裕を持ってエアコンを付け、お客様に快適に内覧していただけるよう準備をしていることもあります。
でも、もし「この角部屋、実際はどれだけ暑いかな?」と気になるのであれば、内覧の予約段階で「エアコンを付けないままで内覧したい」と伝えてみてください。
また、同じマンションで角部屋と中住戸が販売中であれば、同時に内覧して比較することもできます。
もちろん熱中症になると大変なので、ささっと内覧した後には不動産会社のオフィスに移動して打合せしたり、一日で複数の物件をまわらずに別の日に分けるなどの対策をしてみましょう。
弊社イーコンセプトでも、お客様が物件について気になる部分を解消できるよう、内覧時にはお一人お一人のご要望にあわせてご案内しております。
もし「暑い家は避けたい」という場合には、ぜひその旨をスタッフにご相談ください。
物件の選定から工事で対策する方法まで、総合的にご提案させていただきます。