管理状態の良いマンションが得する時代へ 「管理計画認定制度」スタート!
これからマンションを買おうと思っている皆さんに質問です。
物件を選ぶ優先順位にマンションの管理状態は含まれていますか?
これまでも不動産業界では「マンションを買うなら管理を買え」というのが定説でしたが、一般のマンション購入者からはあまり重視されていませんでした。
要因としては、マンションの管理状態は住人以外が気軽に知れるものではなかったことが大きいと考えています。
ところがいま、国をあげてマンションの管理状態の可視化と、維持・向上を重視する流れが来ています。
所有者個人にも、住宅ローンや税金関係で影響する可能性があるため、これからマンション購入をお考えの方はぜひこの記事を参考に、マンション選びを進めてみてください。
目次
1.管理状態を“見える化”する動き
1-1. 管理が重視されるようになった背景
近年は築年数が経過したマンションの増加と、それに伴う住人の高齢化などにより、マンションの適切な維持管理が課題となっています。実際に外壁の老朽化などで近隣地域に悪影響を及ぼす状態になり、地方自治体によって解体されるケースも発生しています。
解体はマンション所有者との権利関係や解体費用(原資は税金)などの問題があるため、自治体としてはできるだけ避けたいところ。
その対策として、マンションの適切な維持・管理を国全体で進めていくことになりました。
大きな変わり目となったのが、2022年4月に施行された「マンション管理適正化法」等の改正です。
ざっくり言うとアメとムチの2本立て。
まずムチとなるのが、自治体がマンションの管理組合(所有者で構成される組合)に対して「もっと良く管理してください」と言えるようになったことです。
そしてアメとなるのが、自治体から適切な管理計画を行っているマンションに対して、「管理状態が良いですね」とお墨付き与える「管理計画認定制度」です。
お墨付き認定するための評価基準は、国の指標をもとに自治体が独自で定めます。
たとえば弊社イーコンセプトのある仙台市と福島市は、国の指標をそのまま使用しているとのこと。
仙台市の基準を見てみましょう。
管理会社に管理運営を委託しているマンションであれば、「管理規約」「管理組合の運営」「その他」の項目はクリアしそうな内容です。
一方で「管理組合の経理」の、会計の内訳や修繕積立金の滞納額、「長期修繕計画」の項目はマンションごとによって方針が大きく変わる部分です。
とはいえハードルがとても高いというわけでもなく、すでに仙台市では3件のマンションが認定されています(2023年10月現在)。
- ライオンズ仙台レジデンス(宮城野区)
- ライオンズマンション北仙台 (青葉区)
- ザ・センタータウンズパラッシオ小田原弐番館(青葉区)
→参考:仙台市「仙台市管理計画認定マンション一覧」
このように今後はマンションの“管理状態の見える化”が進み、売買市場にも影響を及ぼすことが予想されます。
1-2. 管理認定マンションを買うとお得になる
管理状態の見える化は住人やこれから購入する人にとって安心材料となるほか、購入時には金銭面でのメリットもあります。
【フラット35 金利引き下げ】
管理認定マンションを購入する際に、住宅金融支援機構が提供する「フラット35 維持保全型」を利用すると、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げとなります。
【固定資産税 減税】
長寿命化工事(いわゆる大規模修繕工事)が実施された場合に、翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額されます。
減額割合は、1/6~1/2の範囲内(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定めるようです。
対象となるのは下記の通りです。
- 築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること
- 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること
- 長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること
- 令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事
大規模修繕工事ができるのは、住人が修繕積立金を十分に納めているから。しっかり払っている分、ここで少しでも優遇してもらえるのは嬉しいですよね。
1-3. よく似ている「マンション管理適正評価制度」もメリットあり
上記の「管理計画認定制度」は自治体が運営する制度ですが、それより前にマンション管理業協会が「マンション管理適正評価制度」を始めていました。
これはマンションの管理状態を★1~★6までの6段階で表すものとなっています。
《マンション管理業協会とは?》
一般社団法人マンション管理業協会は、マンションの管理会社が会員となる団体です。会員が管理する分譲マンションは全国の92%をカバーしています。
自治体の制度との違いは下記の通りです。
自治体の制度と比べて、耐震診断や防災・防犯などのより幅広い審査項目が設けられています。
評価サイトでは、
- 管理体制関係
- 建築・設備関係
- 管理組合収支関係
- 耐震診断関係
- 生活関連
といった主要5項目が点数化されているため、マンションごとの特色がわかりやすくなっています。
Webサイトへの公開を希望したマンションは、下記のサイトで評価内容を見ることができます。
→マンション管理適正評価サイト
この「マンション管理適正評価制度」は、自治体の「管理計画認定制度」の手続きの一部とすることができます。そのため、「マンション管理適正評価制度」で評価を受けて自治体の基準に適合する場合は、そのまま自治体の制度も申請できる仕組みとなっています。
不動産業界の注目度も高く、at homeの「建物ライブラリー」や大手不動産会社のマンション解説サイトなどでも「マンション管理適正評価制度」の評価を記載する動きもあり、今後も広がりを見せていくでしょう。
そして評価を受けたマンションを購入する際に、住宅ローンの金利優遇が受けられる金融機関が登場しています。
【七十七銀行(宮城県仙台市)】
77住宅ローンでは、「マンション管理適正評価制度」を受け、Web上で公開していること」が金利引き下げ条件の一つとなっています。
→77住宅ローンリーフレット
【三十三銀行(三重県四日市市)】
三十三銀行住宅ローンでは、「マンション管理適正評価制度」★3以上が金利引き下げ条件の一つとなっています。
→三十三銀行住宅ローン
一般的には住宅ローンの審査では建物の築年数も評価基準となるため、築年数が経過するほど融資条件が厳しくなります。
そのため「管理状態が良いのに、ただ古いだけで審査が不利になる」というデメリットをカバーする動きは、すでに需要が高い中古マンション市場にとって“やっと時代が追いついた”画期的な動きと言えます。
2.購入時に管理状態の良い物件を見つけるポイント
これからはマンションの管理状態の見える化を進めるために、管理良好なマンションへの優遇が一般的になっていくと思います。今から買うなら、管理状態の良いマンションを狙うのが吉です。
そこで、今後評価制度を受けて「管理状態良好」とされやすいマンションを見つけるポイントを3つご紹介します。
①整理整頓・掃除が行き届いているか
エントランス、共用廊下、掲示板、植物の状態が綺麗に整っているか確認しましょう。
管理会社が派遣する管理人さんが掃除も行っていたり、定期清掃スタッフと契約している場合は、そこに支出できる資金面の余裕があると推測できます。
共用部が綺麗であることは防犯面や建物の劣化防止にもかかわるため、基本中の基本のチェックポイントです。
②駐車場・駐輪場は整っているか
マンションの運営の主体はあくまで住人。マンション運営について一緒に考えていけるご近所さんなのかも今後の生活にとって重要です。
住む前にわかる情報はあまりありませんが、駐車場でみかける車種や車の様子、駐輪場の使い方などは一定の目安になります。
③修繕計画・耐震診断
管理制度の評価基準になる修繕計画・耐震関係については、不動産会社経由で確認できます。
修繕計画については、過去の工事履歴や長期修繕計画を確認し、次回の大規模修繕工事に間に合うように修繕積立金が貯まっているかを不動産会社に聞いてみてください。
自治体の「管理計画認定制度」の基準では、毎月の修繕積立金と並行して一時的な追加徴収がある(予定している)とアウトになることは覚えておきましょう。
また新耐震基準が適用されていない(昭和56年5月31日以前に着工した)マンションは、耐震診断を行って問題なしになっているか、耐震改修工事を行っているかを確認してください。
まとめ
自治体主導の「管理計画認定制度」や、マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」が始まり、マンションの管理状態が見える化していく流れとなっています。
これらの認定を受けたマンションを購入すると、住宅ローンや固定資産税の優遇が受けられます。
これから中古マンションを購入するなら、ぜひ認定を受けたマンションや、これから認定を受けやすい管理状態良好なマンションを狙ってみてはいかがでしょうか。
弊社イーコンセプトは、宮城県・福島県で分譲マンションの販売代理を行っているため、マンションに強い不動産会社と自負しています。
「管理状態が良いマンションはどこ?」と気になったら、ぜひ弊社スタッフまでご相談ください。おすすめのマンションをご紹介させていただきます。