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2024年法改正でマンションが建て替えやすくなる

2024年からマンションの建て替えがしやすくなる!?区分所有法の改正に注目!

中古マンションの購入を検討している皆さん!
実はいま、2024年に「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)等の改正が検討されていることをご存知でしょうか?

「 「管理計画認定制度」スタート!の記事でもご紹介したように、いま国は中古住宅活用推進のため、マンションの管理状態の維持・向上と売買の活性化を目指して動いています。

一方でどんなに丁寧に管理していても、時代とともに耐震等の基準の変化や老朽化が進み、いずれは建て替えを検討されることになります。
そのため、マンション建て替えのハードルを下げる試みが必要になっています。

それでは、マンション建て替えのためにはいったいどのようなハードルがあるのでしょうか?
今回は区分所有法改正の概要と、建て替え事例をご紹介します。

1. 所有者の4分の3の同意で建て替えが決定?

マンションの建て替え計画は、区分所有者(住民)で組織される管理組合で進めていきます。
建て替えするか否かの検討材料として、下記のような事業計画を準備します。

  • 計画を進めていくための事業協力者の選定
  • 設計、施工するデベロッパーの選定
  • 解体から建て替えまでの費用
  • 建築計画
  • 区分所有者の持つ抵当権等の権利関係
  • 管轄行政や近隣住民との協議

これらが決まったら、所有者説明会を経て「建て替え決議」を行います。
現行の区分所有法では、区分所有者の「5分の4以上」の賛成を得れば建て替えが決定となります。

「5分の4以上」というと、たとえば全100戸のうち80戸の所有者に同意を得ることになります。マンションによっては建て替えの際に所有者負担となる費用が発生することもあり、その中で「5分の4以上」の同意を得るのはハードルが高いとされてきました。

これを解決するために、改正法では「4分の3以上」の同意としてハードルを下げることが検討されています。

ただし「4分の3以上」の同意でOKとなるのは、「耐震性」「火災対策」「内外装や給排水設備の老朽化」「エレベーター等が設置できない」という、建て替えに値する理由があるマンションのみに限定することとなりそうです。

限定する理由としては、いま都心を中心に賃貸のオーナーとして区分所有している比率が高いマンションもあり、そのようなオーナー所有者たちが資産価値向上のためだけに建て替えを決めることを防ぐためです。

たとえば所有者全員が賃貸オーナーで、住んでいる人は賃貸として借りている人だけのマンションなら利害が一致するので良いかもしれません。
ですが賃貸オーナーが多数、自宅として所有している方が少数いる場合、自宅所有の方が建て替え費用の捻出が厳しくて建て替え反対にもかかわらず、多数決で負けて建て替えが決定してしまうと大変ですよね。このような状態を回避するためということです。

また、今後所有者の高齢化が進むと、建て替え決議の際に連絡がつかない所有者がいる場合も考えられます。
この対策として、裁判所が認めれば所在不明者を決議の分母にから外せることも検討されています。つまり、“きちんと連絡のつく所有者のうち「4分の3以上」の同意”を得られればOKとなります。

このようにマンションの建て替えハードルが下がることが、マンションの築年数や老朽化に対する不安に対する解決案になってくれるのではないでしょうか。

2. 国内のマンション建て替え事例

マンションの建て替え事例は徐々に増え、国土交通省によると2023年3月時点で282件にものぼるとのことです。
→出典:国土交通省

事例① 宮城県仙台市:土地区画整理事業が理由の建て替え

弊社イーコンセプトのある仙台市でも「第5レジデンス・サンシャイン」が建て替えを行っています
建て替えの理由は仙台市による土地区画整理事業のため。マンションが道路に干渉してしまうので、建て替え後は少し位置を移動したようです。

仙台市の都合のため、建て替え費用は市からの移転補償金等で賄うことができ、所有者の自己負担なく実施できたそうです。
また建て替え後の建物は位置をずらして建てることとなったため、元の住居に住んだまま仮住まいなしで工事完了したという、所有者にとって負担の少ない条件でした。
→参考:マンション再生協議会

事例② 東京都三鷹市:耐震基準・エレベーター設置等が理由の建て替え

東京都の「下連雀住宅」は、新耐震設計基準を満たしていないこと、高齢者が多いもののエレベーターが設置されていないなどの懸念点があったため建て替えに踏み込んだようです。

一般的にマンションの建て替えでは建て替え後に戸数を増やして新たに分譲し、その代金を建て替え資金とするケースがありますが、立地条件によっては容積率(土地にどれくらいの広さの建物まで建築できるかの許容率)が思うように増やせないこともあります。

一方でこちらの例では店舗・事務所を併設することで、容積率が緩和される条例を適用できるようにして、戸数を増やせることとなりました。
→参考:マンション再生協議

上記2つの例を見ても、それぞれの建て替えの理由や条件にあわせて所有者がなるべく損をしないように計画立てていることがわかります。
建築基準法や自治体の条例など幅広い知識が必要となるため、専門コンサルタントの手を借りて、良い条件で建て替えができるように模索しているようです。

ここで区分所有法が変わることで、自治体の条例なども緩和されてさらに建て替えしやすい状況になってくるかもしれませんね。

まとめ

今後の区分所有法の改正により、マンションの建て替えがより身近になりそうです。

これから中古マンションを購入する方が抱く「いつまで住めるの?」という疑問も、長く暮らしていくにあたって大きな支障をきたす前に建て替えという方法があると見据えられると、安心材料の一つとなるのではないでしょうか。

建て替え時には、専門のコンサルタントに参加してもらうことで専門的な知識や近隣との合意形成についてサポートしてもらえますが、あくまでマンションの運命を決めるのは所有者です。

建て替え計画は仮住まいや建て替え費用の話など、個人にかかわる事柄が発生します。自分の意思を示すためにも、マンションを購入した後はできるだけ総会に出席するなど、マンション運営に関心を寄せるようにしましょう。

また、建て替えに至る前においても、管理組合の運営状況は生活にかかわる重要な部分になります。マンションの管理状況の可視化が進んでいるので、購入前に参考にしたい方はぜひ下記の記事もご覧ください。