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ハザードマップ

住宅購入前にハザードマップを活用!自然災害リスクの確認ポイント

日本では地震、津波、近年は大雨による洪水などの自然災害によって、住まいや暮らしに影響を及ぼすことが多々あります。

住宅購入の際には、万が一に備えて購入する物件がどんな自然災害の被害を受ける可能性が高いのか把握しておくことが大切です。

今回は、不動産の売買契約時に説明される自然災害に関する項目と、自然災害のリスクがわかるハザードマップについてお伝えします。

1. 重要事項説明に出る災害に関する項目

物件が決まって契約する際には、一般の買主が不利益を被らないように、宅地建物取引士(宅建士)が宅地についての重要事項説明をする義務があります。

重要事項説明の中には自然災害のリスクがある地域かどうかを伝える項目がありますが、契約の際に説明があっても理解が追い付かないことも考えられます。

そこで今回はその中から
① 造成宅地防災区域
② 土砂災害警戒区域
③ 津波災害警戒区域
④ 水防法に基づく水害ハザードマップにおける所在地
について紹介します。

① 造成宅地防災区域

地震等により、がけ崩れや土砂流出などが発生するおそれが大きいと指定される区域のことです。
この区域内の宅地所有者は、災害防止のために必要に応じて擁壁(ようへき)の設置等をしなければなりません
また建築物の所有者には、都道府県知事から改善の勧告ができることになっています。

擁壁

なお、自治体がその地域の地滑りを防ぐ工事を完了すると、造成宅地防災区域の指定は解除されます。
全国で指定されている地域の詳細は、随時国土交通省のサイトで確認できます。
国土交通省 宅地造成等規制法の施行状況

② 土砂災害警戒区域

出典:国土交通省

「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」は、急傾斜地の崩落・土石流・地すべりなどが起きた際に、住民に危害が生じるおそれがあると自治体が指定する地域のことです。

土砂災害警戒区域では、高齢者などの災害時要援護者が利用する施設への情報伝達方法を定めるほか、地域に土砂災害ハザードマップを配布して周知を実施するなどの整備が行われます。

そして、より著しい危害が生じるおそれがある地域は、「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」とされ、建築物の構造が安全なものとなるように、外壁の強化や擁壁(ようへき)の建築などの構造規制が適用されます
土地を買って新築住宅を建てる場合は、建築確認申請の際に手続きを行う必要があります。
また建築物の所有者には、都道府県知事から移転勧告ができることになっています。

全国で指定されている地域の詳細は、随時国土交通省のサイトで確認できます。
国土交通省 土砂災害警戒区域等の指定状況等

③ 津波災害警戒区域

出典:国土交通省

最大クラスの津波が発生した場合に、起こりうる危害の程度によってイエローゾーン、オレンジゾーン、レッドゾーンに区分分けされた地域のことです。

「津波災害警戒区域(イエローゾーン)」は、住民の生命に危害が生じるおそれのあるとして、警戒避難体制を特に整備すべきと指定された地域のことです。

「津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)」は、イエローゾーンのうち、建築物の損壊または浸水によって住民等の生命に著しい危害が生ずる恐れがあるとして、建築物の建築や用途の変更などを制限すべきとして指定された地域のことです。主に病院や社会福祉施設等の公的機関に適用されます。

「津波災害特別警戒区域レッドゾーン」は、オレンジゾーンのうち特に迅速な避難が困難な区域として市町村の条例で定めた場合に、住宅等の開発行為や居室の床面の高さ等の建築規制が設けられることがある地域のことです。

指定されている地域の詳細は、各都道府県、地方自治体のサイト等で確認できます。

とはいえ、弊社イーコンセプトのある宮城県や福島県をはじめ、警戒区域に指定せずに津波浸水エリアや避難エリアを公表するだけに留まる自治体もあります。

実際に住むことを想定する際には、自治体が公表しているハザードマップで浸水エリアや避難エリアを調べることをおすすめします。

④ 水防法に基づく水害ハザードマップにおける所在地

水防法は、洪水、雨水出水(内水)、津波、高潮による被害を軽減するための活動を定めた法律です。
重要事項説明では、ハザードマップを用いて物件の所在地との関係性を説明することが一般的です。

2. ハザードマップを活用しよう

上述した「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。

洪水・地震防災・液状化・土砂災害・高潮・津波・火山などの災害を取り扱っており、国土交通省や各自治体が一般に向けて公開しています。

弊社イーコンセプトのある仙台市を例に見てみましょう。
仙台市のハザードマップはいくつかのサイトで確認できます。

① 仙台市「仙台防災ハザードマップ」
 元の情報はこちらです。役所で配布されているほか、リンク先でもPDFで確認できます。
② 国土交通省「重ねるハザードマップ
 災害リスク情報を地図や写真に重ねて表示できます。
 おおまかな災害リスク情報を調べる際には便利です。
③ 仙台市「せんだいくらしのマップ
 仙台市の防災・公共施設・教育・医療など、街の情報が集まっているデータベースです。
 防災に関しては特に知りたい情報を細かく見ることができます。

今回は、より細かく見ることのできる「せんだいくらしのマップ」から、内水浸水想定区域図を見てみます。

「せんだいくらしのマップ」内水浸水想定区域

2019年10月に起こった「令和元年東日本台風」は、宮城県丸森町をはじめ、仙台市でも大雨による浸水被害が多発したのを記憶している方もいらっしゃると思います。

あの時は仙台駅前が冠水した影響で交通にも影響が出て大変でした。 このマップでは、その時と同程度の雨が降った際に、下水道などの排水能力を超えた場合に想定される浸水状況を示しています。

赤は45cm以上、青は20~45cm以上、緑は5~20cm以上の浸水想定となっています。
男性は70cm、女性は50cmの浸水で歩行が困難になるそうなので、青や赤のエリアは避難する際に注意したいですね。

当時も浸水被害があった日の出町や卸町などが赤くなっているなど、地域の傾向や浸水しやすい道路が分かりやすく、近所に住んだ際のリスクを想定しやすいものになっています。

避難所も重ねて表示できるので、住みたいエリアにはどの災害のリスクがあって、どこに避難すればよいかを確認してみてください。

3.物件選びに不安になったら

以上のように物件選びの際にハザードマップを見ると、「理想のエリアが危険地域に入っている」と不安になってしまうかもしれません。

しかし日本ではどの地域でも自然災害とは切り離せないので、物件選びにおいてはある程度のリスクを承知のうえで「どこまで許容できるか」という優先順位と、「どこまで備えるか」という対策について意識することをおすすめします。

例えば上記で紹介した仙台市の「内水浸水想定区域」では、仙台駅の東側の日の出町や卸町などは色が付いている地域ですが、平地のため徒歩や自転車を活用しやすかったり、大通りが多く車が使いやすいなどの利点もあります。

このような普段の生活のしやすさと、非常時のリスクの優先順位を検討してみましょう

また、非常時のリスクに関しては、保険や資金を備えることで安心度が変わってきます

万が一住まいの被害があった場合でも対応できる預貯金を備えることや、地震保険、水災保険の中身を検討することが大事です。

そのためにも住宅購入時には、住宅ローンを返済可能額ギリギリで組まずに、住まいのメンテナンス費用もかかることを見越したり、保険内容との兼ね合いを考えて資金計画を立てることが重要です。

弊社イーコンセプトでは、お客様の将来的な暮らし方も含めて、住まいの優先順位をお客様と一緒に考えながら物件をご提案しております。

災害リスクに備えた保険のご紹介や、住まいのメンテナンス費用も見越した資金計画などもファイナンシャルプランナーと連携してご案内させていただきます。

宮城、福島で物件探しがなかなか進まない方、自然災害リスクを考慮して住宅購入を進めたい方は、ぜひ一度イーコンセプトにご相談ください。