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20代、30代の約2割がペアローンを組む時代。夫婦で住宅ローンを組む際の注意点は?

マイホームを購入する際、ほとんどの人が住宅ローンを組むことになります。
しかし、住宅ローンは誰でも組めるわけではなく、収入状況によってはローンが組めない場合もあります。

そのような場合に検討すると良いのが、夫婦で組むことができる『ペアローン』。1人では収入が低くても夫婦で収入を合算することでローンが組みやすくなります。

実際にペアローンを組む人は年々増加傾向にあり、特に若年世帯(20代~30代)の20%がペアローンを利用して住宅購入をしています。

そこで今回は、ペアローンの基本やメリットと注意点を分かりやすく解説していきます。
これから、住宅購入を考えている人はぜひ最後まで読んでみてください。

ペアローンとは?

ペアローンとは、ひとつの物件に対して夫婦や親子などそれぞれが契約者となり住宅ローンを組む方法です。
共働き夫婦の場合、夫と妻がそれぞれ住宅ローンを1つずつ、計2つを契約することになります。この際、夫と妻はお互いに相手の連帯保証人になることが必要になります。

仮に、4,000万円の物件を購入する場合では、夫が2,000万円の住宅ローン、妻も別に2,000万円の住宅ローンを組み、合わせて4,000万円の融資を受けることができます。また、必ずしも夫婦それぞれで半分ずつ借りる必要は無く、7対3など割合は調整できます。

ローン契約はそれぞれでしているので、住宅ローン控除もそれぞれ適用できます。

収入合算との違い

収入が低くてローンを組めない場合の手としては「収入合算」という方法もあります。
収入合算とは、夫婦の収入を合算した金額でローン審査を受ける方法です。収入合算の場合は、住宅ローンの契約は主契約者の1本のみとなり、合算の対象者は連帯保証人となります。

ペアローンと収入合算の違いは以下の通りです。

ペアローン収入合算
ローン契約数2つ1つ
主契約者夫と妻それぞれ夫か妻のどちらか
連帯保証人夫と妻主契約者以外の配偶者
返済義務夫と妻主契約者のみ
住宅ローン控除夫と妻主契約者のみ

ペアローンは2つのローンを夫と妻それぞれで契約するので、返済義務もそれぞれにあります。一方、収入合算は合算する配偶者はあくまで連帯保証人なので、返済義務は契約者となる配偶者の方です。

ペアローン3つのメリット

ペアローンには大きく次の3つのメリットがあります。

  • それぞれに住宅ローン控除を適用できる
  • 借入可能額を大きくできる
  • 夫婦それぞれで返済条件を決定できる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

① それぞれに住宅ローン控除を適用できる

ペアローンの場合、住宅ローン契約は夫・妻それぞれの2本になるため、それぞれで住宅ローン控除を受けることができます。

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住宅ローン控除

住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、ローン残高に応じて一定額を所得税と住民税から還付を受けられる税制優遇措置。

年末時点のローン残高の0.7%を最長13年間控除できる。

住宅ローン控除を適用できるのは、ローンの名義人のみです。そのため、名義人ではない配偶者の所得が高くても住宅ローン控除を適用できません。また、名義人の所得以上に控除できず、控除額上限が決められています。
どんなにローン残高が高くても、1人では控除額をフル活用できない可能性があるのです。

ペアローンの場合、夫・妻それぞれがローンの名義人なので、それぞれに住宅ローン控除を適用できます。

例えば、3,000万円の残高がある場合、控除できる金額は最大21万円です。
一つの契約の場合、21万円控除できますが、住宅ローンを組む人が所得税と住民税を併せて年間21万円以上納めていない場合、控除を満額活用できません。
対して、ペアローンでそれぞれ1,500万円ずつのローンを組む場合、夫と妻がそれぞれ、年間10.5万円以上の税金を納めていれば、住宅ローン控除を満額活用できることになります。

夫婦ともに収入が高い場合、それぞれに住宅ローン控除を適用することで最大限控除の枠を活用でき、節税効果も高くなるでしょう。

② 借入可能額を大きくできる

ペアローンの大きなメリットが、借入可能額を大きくできるという点です。

どちらかの収入だけでは、希望する額が借入られない場合でも、ペアローンを利用することで希望額の融資を受けられるようになるでしょう。

夫婦の収入を合わせることで借入額もより大きくでき、物件の選択肢が広がります。

③ 夫婦それぞれで返済条件を決定できる

ペアローンは夫・妻それぞれ個別の契約となるので、借入額・返済期間・金利対応など返済条件もそれぞれで決定できます。

例えば、夫の借入額を大きくして固定金利、妻は借入額を小さくして変動金利ということも可能です。

子供の教育資金がかかる時期の負担を減らすことや、将来に備えてどちらかの返済期間を短くするという選択肢もあります。

ライフプランや状況に応じて、それぞれで返済条件を設定することで家計への負担も減らせられるでしょう。

ペアローンの注意点

ペアローンにはメリットだけでなく、注意しなければならない点もあるのでご紹介します。

  • 退職すると返済が難しくなる
  • 諸費用が2人分かかる
  • 離婚後のローンの取扱いが難しい

① 退職すると返済が難しくなる

夫婦どちらかの退職や転職などで収入が減少しても住宅ローン返済は待ってくれません。ローンを組んだ時点ではどちらも正社員で収入が高くても、ずっとその状態を維持できるわけではないでしょう。

特に女性は、妊娠・出産・子育てで職を一旦離れるなどし、収入が減少することも珍しくありません。
夫にしても、今の職業と給与を維持することが難しい場合もあるでしょう。

それぞれでローンを組み、高額な借入をした場合、万が一世帯収入が減少した際に返済が厳しくなる可能性があるので注意が必要です。

② 諸費用が2人分かかる

ローン契約には、事務手数料や保証料などさまざまな手数料がかかります。ローン契約に伴う手数料は数十万円以上かかるのが一般的です。
ペアローンの場合、ローン契約を2本結ぶため、必要な手数料が倍近くになってしまうのです。

手数料は金融機関によって設定は異なり、高額になる可能性もあるため、しっかりと比較するようにしましょう。

③ 離婚後のローンの取扱いが難しい

ペアローンを組んだあと、離婚してしまうと大きな問題になってしまう可能性があります。

離婚した場合、夫婦共有の名義である家を清算しなければならないでしょう。金銭で分割するか、どちらかが家に住み続けるという選択をしなければなりません。

どちらかが住み続ける場合、ローンを一本化する必要があります。しかし、ペアローンを一本化しようにも簡単にできない点にも注意が必要です。ペアローンを一本化してしまうと、名義人のみの収入でローン契約するため収入が十分でない可能性があります。

ローンを一本化できない場合には、売却という選択肢を考える必要があるでしょう。

ただし、売却するにしても売却額だけではローンの残債を完済できない状態だと差額を自己資金で充填する必要があります。

例えば、残債が3,000万円あり、マイホームの売却額が2,500万円だった場合、差額の500万円を自己資金で用意しなければなりません。

上記のようなケースで差額を用意できない場合、そもそも売却できない点にも注意しましょう。

まとめ

今回は、ペアローンについて紹介しました。

夫婦2人でペアローンを組むことにより、より大きな金額を融資できるので物件選択の幅が広がるのはうれしいですよね。また、住宅ローン控除をそれぞれ適用できるのも大きなメリットです。

一方、住宅ローンは返済期間が長いため、長期的な計画が大切です。今回紹介した注意点を参考にしながら、ぜひ夫婦で一番最適な方法を検討してみてください。

イーコンセプトでは、住宅購入をするお客さまへ専門のファイナンシャルプランナーによるライフプランを実施しております。
住宅購入だけで考えるのではなく、教育資金など将来かかるお金のことも含めて、最適なローンの組み方をアドバイスできるので、住宅ローンで悩んでいる方はぜひご相談ください。