不動産購入に関わる税金と節税できる制度とは
不動産を建築・取得すると、納税する項目が発生します。「固定資産税」や「都市計画税」、「不動産取得税」など様々な種類の税金が課税されるのでしっかりと確認することが大切です。
また、「住宅ローン減税」や「すまい給付金」など節税できる制度もありますので、事前に把握しておきましょう。
納税するもの
固定資産税
固定資産税は所有している土地・建物に対して課税される地方税で、毎年1月1日に所有している所有者が納税対象者となります。売買によって1月2日以降に所有者が変わる場合は、1年のうちの所有日数に応じて按分し、買主が売主に税額分を支払うことが一般的です。
固定資産税の税額は下記のように計算されます。
★ 固定資産税評価額×標準税率1.4%
固定資産税評価額は「固定資産評価基準」に基づいて市町村が決める評価額で、原則として3年ごとに見直しが行われます。つまり納付額が3年ごとに変わる可能性があるということです。
また、土地と建物は別々に評価されます。土地は地価公示価格の70%ほどが金額の出し方の目安となり、家屋は構造、経過年数などによって再建築費評点数が計算されます。
都市計画税
都市計画税は、市街化区域内の土地・建物に対して課税される地方税で、固定資産税に加えて納付する必要があります。固定資産税と同様に、毎年1月1日に所有している所有者が納税対象者となります。
都市計画税の税額は下記のように計算されます。
★ 課税標準額(固定資産税評価額)×制限税率0.3%
また、特例として、
- 200平方メートル以下の小規模住宅用地部分(200平方メートルを超える住宅用地の場合は、住宅1戸当たり200平方メートルまでの部分)に対しては、都市計画税の課税標準額が、その土地の価格の3分の1に軽減されます。
- 200平方メートルを超える一般住宅用地部分に対しては、都市計画税の課税標準額が、その土地の価格の3分の2に軽減されます。
納税額は、固定資産税とともに「納税通知書」に記載され、年4回に分けて納税します。
固定資産税と都市計画税の納付については、毎年4~6月頃に納付通知書が郵送され、年4回に分けて納付することがほとんどです。自治体によって納付時期が異なる場合がありますので、詳しくは各自治体のサイトや役所窓口にてご確認ください。
不動産取得税
不動産取得税は、購入・新築・贈与などで不動産を取得した際に課税される地方税です。ただし、相続などの場合は課税されません。
不動産取得税の税額は下記のように計算されます。
★ 固定資産税評価額×標準税率4%
ただし、用途や建物の条件によって特例がありますので、詳しくは各都道府県のサイトや窓口にご確認ください。
上記の税金のほかに、建物にかかる消費税(売主が課税事業者である不動産会社の場合)、契約書作成にかかる「印紙税」、登記の際にかかる「登録免許税」などがあります。
税率や制度は随時変わる可能性がありますので、本格的に購入を検討した際には見直してみてください。
節税できる制度
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)
2021年12月に国土交通省から発表された「令和4年度税制改正の大綱」において、住宅ローン減税の延長や要件変更がありました。2022年2月現在ではまだ実施が決定されていませんが、その内容の一部を見てみましょう。
令和4年度から実施を検討されている住宅ローン減税では、毎年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税と住民税の額から控除されることになります。適用される期間は新築住宅で原則13年、既存住宅(中古住宅)で10年です。
控除を受けるためには、下記の要件を全て満たす必要があります。
・自ら居住すること
・床面積が40㎡以上であること
・新耐震基準であること
・個人の借入期間や年収による要件
【要注意ポイント】
控除対象額は「毎年末のローン残高の0.7%」であることと、「所得税+住民税」から控除されることがポイントです。
全員が最大額で控除されるわけではなく、最大でもご自身の所得税+住民税の範囲であることにご注意ください。
不動産取得税の軽減措置
新築住宅及びその敷地の税額の軽減
【建物の場合】
特例の税額:
★ 不動産取得税 = (固定資産税評価額 − 1,200万円) × 3%
軽減の要件(増改築含む):
・居住用その他も含め住宅全般に適用(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション[住宅用]など)
・課税床面積(参照)が50㎡以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡以上)240㎡以下
【土地の場合】
特例の税額:
★ 不動産取得税=(固定資産税評価額 × 1/2 × 3%)-控除額(下記AかBの多い金額)
A=45,000円
B=(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度))×3%
軽減の要件:
・上記「建物」の軽減の要件を満たすこと
・取得から3年以内(2022年[令和4年]3月31日までの特例)に建物を新築すること(土地先行取得の場合)
・土地を借りるなどして住宅を新築した人が新築1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合)
中古住宅及びその敷地の税額の軽減
【建物の場合】
★ 不動産取得税=(固定資産税評価額 − 控除額)×3%
宮城県・福島県の控除額は以下の通りとなります。
軽減の要件:
・買主の居住用、またはセカンドハウス用としての取得 ※賃貸用マンション(住宅用)は適用外
・50㎡以上240㎡以下(課税床面積)
・次のいずれかに該当するものであること
①1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたものであること(固定資産課税台帳に記載された新築日で判断)
②①に該当しない住宅で、新耐震基準に適合していることについて証明がなされたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のものであること
③新耐震基準に適合しない住宅で、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する一定の中古住宅であること
【土地の場合】
特例の税額:
★ 不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)−控除額(下記AかBの多い金額)
A = 45,000円
B =(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2)×(課税床面積×2(200㎡限度))× 3%
軽減の要件:
・上記「建物」の軽減の要件を満たすこと
・取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること(土地先行取得の場合)
・土地を借りるなどしてその土地上の建物を取得した人が1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合)
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長期優良住宅(認定長期優良住宅)
長期優良住宅とは、”安心して長く快適に暮らせる住宅”のことで、国土交通省の定める基準をクリアすることで認定を受けられます。耐震性や省エネルギー性、バリアフリー性や劣化対策などが満たされている事が主な認定基準です。認定を受けた場合には様々な税制上の優遇を受けられます。対象となるのは以下の通りです。
・住宅ローン減税(所得税)の対象拡大:最大控除額が通常の100万円増に。
・投資型減税(所得税)
・登録免許税の軽減
・不動産取得税の軽減
・固定資産税の軽減
ただし、住宅ローン減税等の所得税の減税は、通常と同様に最大でも所得税(+住民税)の範囲での減税になります。収入と借入額によっては長期優良住宅のメリットは少ないかもしれません。
一方で、その他の項目では優遇があるほか、住宅の性能に関する履歴を残しておけると、将来的に他の物件との差別化が図れることはメリットと言えるでしょう。
また、当社でも仲介を行っている新築建売戸建の中には、すでに長期優良住宅の認定を受けているものもあります。ご自身で建てられるのも選択肢の一つですが、申請関係が面倒…という方は、すでに建築されるものを選ぶということも選択肢に入れてみてください。
まとめ
以上のように、不動産は購入時にも購入後にも税金が発生します。
特に固定資産税と都市計画税は、土地・建物の価値によって税額が変わります。一般的に利便性が良く人気の地域では税額が高くなるほか、今後再開発が見込まれる地域は、今以上に税額が高くなる可能性があります。自治体によるまちづくりの計画も事前に確認しておくことや、住宅ローン利用の方はローン返済額と税金の納付を含めた資金計画を立てておくと、さらに納得のいく購入になるかと思います。
一方で、どの程度の税金を納付することになるか、どの制度が使えるかということは、物件や買主の条件によって変わる部分が大きいです。一般のお客様にとってはわかりにくい部分が多いと思いますので、的確にサポートしてくれる不動産会社を見つけることをおすすめします。
イーコンセプトでは、税制を含めた資金計画と物件をご提案いたします。税金や各種手続きについては税理士をはじめとする専門家をご紹介することも可能ですので、住まい購入のその先も考えた計画を一緒に考えましょう。